仕事と人間関係

2001年1月17日
今の会社に入る時にある人に言われたことがあります。

「"Give&Take"のない人間関係は薄れていってしまうのが現実だよ」
という言葉でした。
「だから今の銀行で埋もれるのではなくて,新しい職場で成長していかないと」
と言う意味で言われたのですが,納得せざるを得ないほど強く,また怖い言葉だなぁ,と今でも思います。私自身,業務の話が充実し,同時に自分の業務とも関連がある人との話は楽しいものに感じますし,「またいろいろと話をして自分を高めたい」と思いますから。

しかし。
その人の言葉は正確には,
「"Give&Take"のない人間関係は,少しの例外を除いて,薄れていってしまうのが現実だ」
ということなのでしょう。
その「少しの例外」が自分にとっては大切である,と信じています。また同時に,ある時Give&Takeで強まった中と言うものが「少しの例外」へと少しずつ昇華していく、というものもあるでしょう。
その人は意図的に「少しの例外」と言う部分を省略していたように感じます。最初の転職という,決して一人の若者にとって簡単に下すことはできない決断に際して迷いを取り除くために。

昨日の日記にも書いた上司は最後に「新幹線の中で読め」と,手紙を渡してくれました。
その内容は,要約すると下のようなものです。


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一度きりの人生。思い切り,後悔しない人生を送ればいい。
この会社に入社を決めたのも人生,この会社を去るのも人生です。
そして新しい人生に失敗するのも人生,前の会社をやめなければ良かった,転職なんかするんじゃなかったと後悔するのも人生です。
その時は思いっきり後悔すればいい,と私は思います。
なぜならそれは,あなた自身が選んだ人生だからです。

この会社にいた約2年半は,あなたの人生に,あなたの夢の実現にどの程度役に立ったのか私にはわかりません。ただ,世にも稀な,貴重な経験をされたことは間違いありません。あの混乱の中,良い仕事をしてくれた,と感謝しています。

私は,あなたにこの経験を礎に,今日ここにいる私達に
「自分の決断は正しかったんだ,成功だったんだ」と言うことを是非証明して欲しい,と思います。
そして,この私に「やっぱりあの時,転職の話をやめさせなくて良かった」と言わせるような,かっこいい,後悔しない人生を是非送って欲しいと思います。
今後の活躍を期待しております。

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自分の人事考課にマイナスがつく部下の退職に際し,こう送り出してくれた上司に私は何かを"give"することができていたのでしょうか?
尊敬する上司から,"Give&Take"だけでは成り立たない関係までにしてもらえていたことを本当に感謝し,ドラマのように新幹線の中で手紙を読み,思わず涙を流しそうになりました。

仕事上で一人前になると同時に,その時に人間としても胸を張ってその上司と再開できるようになりたい。心底,今でもそう考えています。

世間でたたかれることの多い「銀行員」,実際に勘違いして調子に乗っている愚かな銀行員も少なくないのは事実ですが。
セクハラする馬鹿も,不倫している勘違い男も,無能な年寄りも,そして本当に尊敬に値するような人も,様々な人がいます。

当たり前ですよね。

でも,その当たり前のことに気がつかない人があまりに多いことにも,日本の社会の未成熟さを実感します。
今でも。

辛辣な言葉も使いましたが,ニュースの報道でまた「銀行を悪者にすれば誰も文句は言わない」と言うごく単純な論理で持ち合い解消売りによる株価下落やBIS規制の見直しについて報道されており,それは仕事だから良いのですが,果たして組織の糾弾か「銀行員」という個人個人の糾弾なのか曖昧な次元でコメンテーターの話が進行しているのを目にしてしまい,辟易したのでした。

ま,
まずは自分がここで一人前にならなきゃ何もならないし,頑張らなければ。(最近こればっかしか)

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