8年

2003年5月14日
巣鴨のアパートに一人暮らししていた時,
部活の飲み会の後,
部屋に帰ってきて実家からの留守電を聞いて,
頭が真っ白になったことは,
まだ昨日の事のような,
遥か遠い昔のことのような。

式場へ向かい,
ご家族に挨拶してもまだ,
周囲みんなが自分をからかっているような。
でも,
線香をあげた後,
前を向いた時目に入った写真に現実が突きつけられて,
涙が止まらなくなった瞬間。

取り戻せるなら,
どんな宗教に走って全てを奪われてもかまわない,
どれほどそう強く願っても何も変わらず,
ただ冷酷に儀式は進行する,
その現実。

無表情に目を閉じた顔。
乾ききった唇。
あまりに現実感がなくて,
哀しさを通り越して,
真っ白な感覚。

「なぜ?」が一日中頭の中で繰り返されて,
夜道をただ呆然と煙草を吸いながら徘徊して,
道端に座り込んで立てなくなって,
涙だけが流れ続けて止まらなくなって,
冷凍庫で冷やした安ウィスキーを飲み続けて,
一人で部屋で煙草を吸い続けて。

真夜中の電話での泣き声を受け止め続けてくれた,
邦彰と美紀がいなければ,
大学へは戻れなかったし,
あの時にピアノを弾く機会がなければ,
前を向くことは出来なかった。


いつまでも逝った人を思い続けて立ち止まるのは,
「自分には明日も,その次もある」
そう考える人の,
傲慢。

立ち止まるなんて,
歩みを緩めるなんて,
自分に許せる筈もない。

今度の週末にはまたピアノを弾いて,
そこで見えてくるものをもう一度,
考えてみよう。

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