少し忙しくもなってきて仕事モードにもなり,
2年前にファンドを離れたことについて少し,
あらためて整理を。

リアルの友人はともかく従前からの読者の方の中には,
私が「市場価値」を意識しなくなった,
そのように感じている方もいると思います。
実際,今の収入については金融から離れて,
そのまま続けていたと仮定して稼いでいる額の半分程度でしょう。

それでも5年後・10年後の市場価値,
つまりその時までに蓄積できる経験と伸ばせる能力を考えると,
今の選択がベストだったと自分では考えています。
在籍していたファンドは未公開株投資ファンドの中でも幸い勝ち組で,
その中でも古株になっていたお陰で,
特に最後の一年は投資先企業のIPO担当や破綻企業への出資など,
貴重な経験をできたと思っています。

それでも次第に自分の視点が企業の経営改善ではなく,
「仕組で儲ける」面白さに寄っていくことが自覚できてしまいました。
企業経営に実務として参加した経験のない私にとって,
金融の視点で企業の価値を算出し,
不確定要素の多い経営改善よりは他者の気付かない仕組を構築し,
それによって確実に自分の計画通りに利益を生み出す。
それこそが「戦略」であり,
自信の持てる自分の「付加価値」になっていました。
(この場合の「仕組」は広義のもので,
例えば事業再構築についても発表時点では,
ここでいう「仕組」でしかありません。
本当に重要なのはその後の経営改善ができるか否かの筈なのですが,
事業再構築を分かり易く効果的に見せれば,
1年程度は株価など上げられるし,
買い手に対しても分かり易くアピールできる。
つまりはそういうことです)

そうなってしまうと限られた自分の時間は,
面白みの感じる仕組の構築に向けることになり,
時間のかかる「経営改善」に携わる機会が減っていました。

そんな中で事業会社の経営陣と交渉をすれば必ず感じるのが,
実務に根ざした経験のない自分のロジックに立脚した自分の言葉の,
薄っぺらさ,とでもいうものでした。
自分のその部分に嫌気を感じた瞬間に,
そのまま金融に留まった時の自分自身の数年後の限界を感じた,
とも今なら思えます。

今,事業会社に移り2年が経過してようやく,
「ブランドを構築するということ」
「異なる職種・国籍・文化の社員をまとめるということ」
「製造業として考えるべきこと」
そうしたことに真正面から取り組み始めました。
それはあのままファンドにいれば間違いなく,
実感することのできなかった問題意識であり,
数年前に薄っぺらさを感じていた自分の課題への取っ掛かり,
そう感じています。

5年後・10年後,
私が成長していればいるほど,
転職する可能性は低くなるのでしょうが,
そう思えることも含めて今,
満足できる経験を積んでいると感じています。

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